Purolite®C100x10MB
耐酸化性に優れる高架橋度の強酸性カチオン交換樹脂
純水・軟水装置に用いられる強酸性カチオン交換樹脂は、通常、官能基としてスルホン酸基を有します。この樹脂が酸化剤である遊離塩素、溶存酸素などによって酸化された場合、ポリスチレンスルホン酸(PSA)が溶出し、処理水の着色や水質低下を招きます。このような酸化劣化は鉄や銅などの遷移金属イオンが触媒として働くことで進行が早まることが知られています。これは架橋度(DVB%)の低い樹脂ほど顕著な傾向がみられます。
ピュロライトの「Purolite®C100x10MB」は、耐酸化性に優れる高架橋度の強酸性カチオン交換樹脂です。
表:Purolite® C100x10MB 一般物性
ポリマー種別・母体 | ゲル型・スチレン系 |
外観 | 褐色透明球状 |
官能基 | スルホン酸基 |
イオン形(出荷時) | Na+ |
見掛密度(概算値) | 820 – 860 g/L |
水分含有率(Na形) | 40 – 43% |
粒度範囲 | 425 – 1180μm |
膨潤率(Na形→H形) | 8%以下 |
比重(Na形) | 1.3 |
総交換容量(Na形) | 2.2 eq/L – 湿潤樹脂 以上 |
耐用温度(Na形) | 120℃ |
純水装置における処理水質の低下防止や長期的な樹脂ライフ延長などにメリット
標準的なDVB 8%と比べて、このカチオン交換樹脂は、DVB 10%と高いため、化学的に安定であることから、長期間の運用でも樹脂由来の溶出物や着色を低減することができます。純水装置においては後段に設置されるアニオン交換樹脂のPSAによる汚染が防止できます。すなわち純水装置全体でみれば、処理水質の低下防止だけでなく、長期的な樹脂ライフ延長などのメリットが期待できます。
耐酸化性の評価を目的に実施したカラム通水試験の結果を下図に示します。一定の通液倍量(BV)毎に、樹脂を通した処理水の波長225nmにおける吸光度(ABS)として測定し、これをPSA溶出量の指標としました。この試験に通水する原水には、酸化劣化の触媒として機能する微量のバナジウムが含まれ、処理水吸光度が高いほど、酸化劣化によるPSA溶出が高い、すなわち劣化しやすいことを示します。
図:酸化劣化による溶出物の挙動(ABS 225nm)
Purolite®C100x10MBは、酸化劣化の触媒となるバナジウムを含んだ条件下においても、より高架橋度であるDVB 12%の他社品と同等の耐酸化性を持つことが明らかになりました。